展示会の効果測定が難しいのは、名刺交換から受注までに時間がかかり、営業や広告など複数の接点が関わるためです。名刺の枚数だけを集計しても、出展の価値は判断しきれません。

最初に「何を1件と数えるか」「いつ評価するか」「費用をどこまで含めるか」を決めることが、測定の出発点です。この記事では、営業成果を追うための記録方法と計算例を紹介します。

本文中の金額・件数・日数は説明用の仮定であり、業界平均や成果を保証する目標値ではありません。

商談につなげたい内容を背景面に表示する際は、設置条件に合う装飾も確認しましょう。

1.効果測定が難しい原因を3つに分ける

評価の時期・単位・貢献の扱いをそろえる

結論:測れない理由を分けると、追加すべき記録が見えてきます。

  • 時間のずれ:会期中に相談があっても、受注は数か月後になる。
  • 単位のずれ:名刺の枚数、企業数、案件数を混ぜて計算している。
  • 接点の重なり:展示会前から進んでいた案件を、新規獲得と同じように扱っている。

例えば、同じ会社の3人と話して1件の導入相談につながった場合、接点は3人でも案件は1件です。人数と案件数は、それぞれ別の欄で管理しましょう。

最終成果と途中経過を分ける

受注を最終成果にする場合も、会期直後には「対象企業と接点を持てたか」「次の打ち合わせを実施できたか」を確認します。途中経過が順調でも受注を保証するわけではなく、受注がまだないことだけで失敗とも判断しません。

展示会の接客記録を分類して重複を確認する担当者の手元|誉展示会

2.商談の定義と集計単位を決める

名刺・企業・案件を別々に管理する

次の例では、商談を「課題と検討テーマが確認され、会期後の個別打ち合わせを実施した案件」と定めます。日程の仮予約や資料送付だけは、実施済み商談に含めません。これは運用例なので、自社の営業段階に合わせて定義してください。

項目 数え方の例 仮の集計
接点人数 同じ人の重複を除く 120人
対象企業数 販売対象に該当する企業を企業IDで集約 80社
商談実施企業数 上記80社のうち、個別打ち合わせを実施 20社
商談案件数 上記20社に紐づく導入テーマ別の案件 24件

この場合、企業単位の商談化率は20社÷80社×100=25%です。24件÷80社は1社当たりの案件数に関する比率で、企業単位の商談化率とは区別します。

記録は営業が更新できる項目に絞る

展示会ID、接点日、人物ID、企業ID、相談テーマ、案件ID、次の対応、担当者、対応期限を共通欄にします。案件化前は案件IDを空欄にし、後から紐づけます。既存顧客か新規顧客か、会期前から案件があったかも残すと、成果を整理しやすくなります。

展示会の接客シートを見ながら商談管理表に入力する担当者|誉展示会

3.30・60・90日で途中経過を確認する

同じ企業群を継続して追う

結論:毎回集計対象を変えず、その展示会で接点を持った企業群を追跡します。会期末を起点として30日・60日・90日で確認する方法は、運用の一例です。半年以上かかる商材なら評価期間も延ばしましょう。

確認時点の例 見る項目 次の対応
30日後 初回連絡・商談実施・未対応 担当者と次回期限を確認
60日後 見積提出・検討継続・失注理由 提案内容と支援資料を見直す
90日後 受注・失注・継続中・未確認 成果を更新し、継続案件を引き継ぐ

30日後の商談実施企業が20社、60日後の累計が28社なら、増えたのは8社です。20社と28社を足して48社としないよう、累計と期間内の追加件数を分けてください。

連絡が取れない案件は、受注にも失注にも自動的に振り分けず「未確認」として残します。担当者や期限が空欄なら、効果以前にフォロー漏れを改善する必要があります。

会場で伝える内容と個別相談のテーマをそろえる際は、背景表示も見直しておきましょう。

4.商談獲得単価と利益ベースのROIを計算する

費用に含める範囲を固定する

出展料、装飾費、輸送費、交通・宿泊費に加え、準備・当日・事後対応の人件費をどう扱うか決めます。現金支出だけの集計と、社内工数を含む集計を比べないことが大切です。

仮に対象費用が120万円、実施済み商談が24案件なら、商談1案件当たりの費用は120万円÷24件=5万円です。商談が0件なら単価は算出できないため、0円ではなく「算出不可」と記載します。

売上と利益を混同しない

この記事では、ROIを(展示会に配分した粗利益-対象費用)÷対象費用×100と定義します。粗利益は売上から売上原価を差し引いた額で、対象費用は粗利益と二重に差し引かないよう整理します。

仮に展示会に配分した売上が500万円、対応する売上原価が300万円なら粗利益は200万円です。対象費用120万円の場合、ROIは(200万円-120万円)÷120万円×100=約66.7%になります。売上500万円をそのまま利益として代入しないでください。

これは上記の費用範囲に基づく管理用の計算です。回収前の受注額と確定売上、将来見込みと実績も分けて報告しましょう。

展示会ブースの記録写真と費用明細を並べて出展費用を集計する手元|誉展示会

5.展示会の貢献と受注のきっかけを分ける

同じ受注を複数施策に全額計上しない

受注案件について「展示会で初めて接点を持った」「以前からの案件が展示会で進んだ」を分けます。両方に価値がありますが、すべてを新規獲得として合算すると成果を過大に見せてしまいます。

Salesforceの公式資料でも、キャンペーンの貢献を配分する標準・カスタムのモデルが説明されています。重要なのはツール名より、社内で同じ配分ルールを使うことです。

例えば粗利益100万円の案件に対し、展示会50%・紹介50%と配分すると、展示会分は50万円です。これは計算例であり、50%が適正という意味ではありません。先ほどのROI例も、こうしたルールで配分した後の金額を使います。

配分は管理上の約束事で、展示会がなければ受注しなかったことを証明するものではありません。配分ルールが決まらない段階では、関与案件として別表に残し、ROIを無理に確定しない方法もあります。

6.測定結果を次回の改善につなげる

件数が減った段階から見直す

  • 対象企業との接点が少ない:出展先や事前告知の対象を見直す。
  • 接点はあるが商談が少ない:相談テーマと次回約束の取り方を確認する。
  • 商談はあるが受注が少ない:提案条件、導入時期、競合状況を営業と確認する。
  • 状況不明が多い:記録項目と更新の担当者を決め直す。

出展直後の速報と後日の更新版には、集計日と対象期間を必ず記載します。前年との比較も「会期後90日時点」など、同じ経過期間で行いましょう。

展示会後の案件管理表を確認し対応状況を共有する二人の担当者|誉展示会

展示会の効果測定が難しいときは、指標を増やす前に集計のルールを整えることが近道です。商談の定義、評価日、費用範囲、成果の配分をそろえ、営業が次の行動を決められる記録を残しましょう。

測定結果から背景面の伝わり方を改善する場合は、表示内容と設置寸法に合う装飾をご検討ください。

参考:Salesforce「How Customizable Campaign Influence Works」