展示会デザイン事例を探していると、「この雰囲気が好き」「同じようなブースにしたい」と思う写真が見つかります。しかし、色や形だけを参考にすると、自社の商品や説明内容に合わない場合があります。

事例を見るときは、「どこに何を表示しているか」「何を見せるための展示か」「自社でも同じ条件を用意できるか」の3点を整理しましょう。気に入った理由を言葉にすると、社内での相談や制作会社への依頼が具体的になります。

この記事では、誉展示会の実績ページに掲載している写真を取り上げ、自社のブースづくりに生かすための見方を6つのポイントに分けて紹介します。写真から確認できる特徴と、別途確認が必要な条件を分けて解説します。

1.展示会デザイン事例は、見た目と使用条件を分けて見る

「好きなデザイン」を、参考にできる要素へ分解する

写真を保存するときは、気に入った部分を1つずつ書き添えます。「おしゃれ」だけでは担当者によって受け取り方が変わりますが、「背景と説明台の色がそろっている」なら、検討する場所が明確になります。

まずは次の4項目で整理すると、複数の事例を同じ基準で比較できます。

実績写真を見るときの4つの確認項目
確認項目 写真で見る場所 自社で整理すること
色の使い方 背景・ロゴ・説明台の色 そろえる色と、強調する色
情報の配置 社名・用途・詳しい説明の位置 最初に伝える内容と、その後に見せる内容
展示物との関係 商品・画面・説明表示の組み合わせ 実物で見せることと、表示で補うこと
設置条件 脚部・配線・壁面・周囲の空間 寸法や設置方法を別途確認する項目

写真の印象が似ていても、小間の形や展示物の大きさが異なれば、同じ配置は使えません。デザインの参考と、寸法・設置条件の確認を分けて進めることが大切です。

2.Tally Group様の事例から、情報のまとめ方を見る

色だけでなく、見出しと説明の並べ方を確認する

Tally Group様の事例には、テンションファブリックを使用した展示会用ディスプレイが掲載されています。掲載写真では、青系の色でそろえたパネル、上部のロゴサイン、アイコンを添えた説明が確認できます。

青系のパネルと上部のロゴサインを組み合わせたTally Group様の展示ディスプレイ|誉展示会

写真の注目点:上部のロゴサインと、アイコンを添えた説明の配置。自社の原稿でも、見出しと詳しい説明を分けて整理してみましょう。

参考にしたいのは、まとまりのある色使いの中で、説明する内容を区切っている点です。文章全体を同じ大きさで並べるのではなく、見出しと個別の説明を分けると、制作段階でも情報の優先順位を整理しやすくなります。

自社に取り入れるなら、まず掲載予定の文章を「会社・ブランド」「何を提供するか」「個別の特徴」の3種類に分けてみましょう。これは原稿を整理するための区分であり、すべてを3枚のパネルに分けるという意味ではありません。

そのうえで、最も伝えたい内容を主な表示面に置き、詳しい説明をどこまで載せるかを検討します。事例の配色や文章をそのまま使うのではなく、情報をまとめる考え方を参考にしましょう。

Tally Group様の実績写真と紹介を見る

3.Insta360様の事例から、上部空間・バックヤード・配色の工夫を見る

限られたスペースを、上・奥・手前に分けて考える

Insta360様の大阪モーターサイクルショーの事例では、黄色を基調とした展示空間に、ブリッジや展示カウンター、モニター、バイクを組み合わせています。

この事例では、上部空間の使い方、展示場所とバックヤードの分け方、色の統一感という3つの視点から、デザインの工夫を確認できます。

黄色のブリッジとパネル、展示カウンターを組み合わせたInsta360様の展示会ブース|誉展示会

写真の注目点:上部をつなぐブリッジ、奥側の仕切り、黄色でそろえたパネルとカウンター。展示物だけでなく、空間全体の組み合わせを見てみましょう。

① ブリッジを使い、上部にもデザインをつなげる

写真では、左右の縦型パネルを上部のブリッジでつなぎ、門のような形をつくっています。床面に展示物を追加するだけでなく、上部にもデザインを広げている点が参考になります。

自社に取り入れるなら、ブリッジを含めた全体の高さと幅、支えるパネルや脚部の位置を図面で確認しましょう。見た目の形だけを合わせず、使用する製品の対応条件と、出展先の高さ制限などに合わせて検討します。

② バックヤードは、展示と運営を両立するために考える

バックヤードは、来場者に見せる展示場所とは別に、備品や補充用の資料などを置くためのスペースです。この事例を参考にする際は、奥側の仕切りと手前の展示物との位置関係に注目しましょう。

写真だけではバックヤード内部の寸法や収納内容までは分かりません。自社の計画では、次の3点を具体的に整理すると、必要な広さを検討しやすくなります。

  • 置くもの:補充用の資料、梱包材、スタッフの荷物など
  • 出し入れする頻度:接客中に取り出すものか、会期中は保管するものか
  • 出入りする位置:来場者への説明や商品を見る場所を妨げないか

収納場所を設けると、その分だけ展示や接客に使える面積は変わります。隠したいものの量を先に整理し、展示場所とバックヤードの両方を図面に入れて検討しましょう。

③ 黄色と黒の組み合わせで、離れた表示にも統一感を持たせる

掲載写真では、パネルやブリッジ、カウンターに黄色を使い、ロゴや文字を黒で表示しています。設置場所が離れていても、共通する色によってブース全体のまとまりを感じられる構成です。

参考にしたいのは、黄色そのものではなく、背景に使う色と、文字・ロゴに使う色の役割をそろえる考え方です。自社のブランドカラーを使う場合も、背景と文字が見分けやすいか、商品が背景に埋もれないかを確認します。

色の比率や文字の読みやすさは、画面上の写真だけで決めず、印刷物や実寸の表示で確かめましょう。ブリッジ・仕切り・カウンターを別々に考えるのではなく、同じ空間の中でどのように見えるかを確認することが大切です。

Insta360様の大阪モーターサイクルショーの実績写真を見る

4.誉展示会の事例から、完成写真以外の情報を見る

設営途中の写真も、デザイン検討の材料になる

誉展示会のSIGN EXPO 24の実績ページには、グラフィックを取り付けている途中の写真が掲載されています。完成後の見た目だけでなく、大きな表示面とフレームの関係を確認できる写真です。

SIGN EXPO 24で黄色のグラフィックをフレームに取り付けている作業の様子|誉展示会

写真の注目点:グラフィックをフレームに取り付けている場面。完成時の見た目と合わせて、搬入・組み立ての条件も確認しましょう。

大きなグラフィックを参考にするときは、ロゴや文字の見え方に加えて、どのように会場へ運び、組み立てるかも検討しましょう。デザイン案が決まってから搬入条件を確認すると、サイズや構成の見直しが必要になる場合があります。

  • 梱包した状態の大きさと、搬入口を通れるか
  • 組み立てる場所を確保できるか
  • 設営を担当する人数と作業内容
  • 会期後の保管場所や、次回使用時の表示変更

写真に写っている作業人数は、その製品の必要人数や推奨人数を示すものではありません。設営時間も写真だけでは分からないため、使用する製品と作業条件に合わせて確認します。

誉展示会のSIGN EXPO 24の実績写真を見る

5.写真で分からない条件は、数字にして確認する

寸法と費用を、見た目から推測しない

展示会デザイン事例の写真は、撮影位置やレンズによって奥行きの見え方が変わります。通路が広く見えても、写真だけで正確な寸法を決めることはできません。

例えば、幅3,000mmの区画に幅900mmの説明台を置く案では、単純な差は2,100mmです。ただし、この2,100mmがそのまま人の通れる幅になるわけではありません。台の位置、パネルの脚部、機器、接客中の人が使う場所も図面上で確認する必要があります。

この数字は確認方法を示す仮の例であり、掲載事例の寸法や、推奨する通路幅を示したものではありません。

費用についても、写真の見た目だけで比較せず、見積もりに含まれる範囲をそろえます。

事例を参考に相談するときの確認事項
項目 確認する内容
寸法 幅・高さ・奥行き、脚部や付属品を含む設置範囲
制作費 本体、印刷、デザイン制作がそれぞれ含まれるか
会場での作業 配送、搬入、設営、撤去を誰が担当するか
次回の使用 保管方法、再利用する部分、表示を変更する部分

照明の明るさや印刷色も、画面で見た印象と実物が一致するとは限りません。色が重要な場合は確認方法を相談し、文字は想定する距離から実寸で読みやすさを確かめましょう。

6.参考事例を3件に絞り、デザインの依頼内容をまとめる

「この写真のように」を、具体的な要望に変える

事例をたくさん集めたら、打ち合わせ用には3件程度に絞ってみましょう。3件は必須の数ではなく、希望の違いを整理するための目安です。それぞれに「取り入れたい部分」と「自社では変える部分」を書き添えます。

例えば、「1件目の情報のまとめ方」「2件目のブリッジ・バックヤード・配色の工夫」「3件目の設営方法」というように、参考にする要素を分けます。企業ロゴや独自の図案を流用せず、自社の素材でデザインを組み立てます。

依頼内容は、次の6項目を1枚の資料にまとめると共有しやすくなります。

  1. 来てほしい人と、その人に最も伝えたいこと
  2. 小間の幅・奥行きと、通路に面している方向
  3. 展示する商品・機器の数と寸法
  4. 参考事例のURLと、取り入れたい部分・変更したい部分
  5. 新しく制作するものと持ち込むもの、配布資料とそろえたい色や表現
  6. 予算に含めたい範囲と、必要な日程

まだ決まっていない項目は「未定」と記載して構いません。写真だけを送るより、確定している条件が分かることで、提案内容を絞り込みやすくなります。

展示会デザイン事例は、見た目の好みを探すだけでなく、自社が必要とする表示や展示方法を整理する材料になります。気に入った写真の「どの部分を、何のために取り入れるか」を言葉にして、ブース計画につなげましょう。

誉展示会の実績ページで参考例を確認した後は、必要な役割に合わせて展示会アイテムをご検討ください。セゴライトボックスなどの商品仕様は、各商品ページで確認できます。